デジタルカメラ自由研究 プリンタ出力を検証する その1

デジタルカメラで撮影した画像データをパソコン等を用いて
手軽にプリントアウトできるようになりました。
でも何だか色が良くないとかボケてるように見えるとか言う話を聞きます。

今回はその中で「ボケて見える」事にフォーカスして話を進めたいと思います。

画素数とプリントサイズ

撮影された画像データの画素数とプリントアウトする用紙のサイズによって
画像解像度の関係が変わります。これは下に示す数式によって算出する事が出来ます。

辺の画素数(ピクセル数)÷プリントアウトに必要な解像度=プリントアウトできる大きさ

例えば、EOS D30 の画像データは、長辺側が 2160 ピクセル、短辺側が 1440 ピクセルです。
これをインクジェットプリンタの出力解像度 360 dpi で割ると…
長辺側が 6 インチで短辺側が 4 インチになります。1 インチは 2.54 センチですから換算すると
15.24 センチと 10.16 センチになります。この大きさは L判の 12.7 センチ×8.9 センチと比較して
僅かに大きいだけとなります。すなわち 300 万画素の画像データだと L判程度が理論上限界という事になります。

しかし同じデータをパソコンのディスプレー上で見る場合、どうなるのでしょうか?

ディスプレー解像度は基本的に 100dpi を下回っています。
仮に 100dpi だったとして計算すると、先のデータが 54.864 センチ×36.576 センチで
表示できる事になり、A3 サイズの 42 センチ×29.7センチを超えています。

逆算すると用紙に合わせて必要な画像データの画素数を求める事が出来ます。
仮に A4 サイズいっぱいにインクジェットプリンタで出力したい場合に
必要となるが素数は次のようになります。

21 センチ÷2.54≒8.27 インチ ×360 dpi ≒2977 ピクセル
29.7 センチ÷2.54≒11.69 インチ ×360 dpi ≒4208 ピクセル
2977 × 4208 = 12527216 となり、なんと 1200万画素以上必要となってしまいます。

ここで問題となるのはプリンタ出力解像度の「360 dpi」と言う数字です。
仮にこれを半分の 180 dpi にできれば、必要な画素数が減ります。
計算式は割愛しますが、結果は 300万画素あまりで充分となります。

本来必要とされる解像度より大きくプリントアウトが出来るのだとすると、
相対的に高画素数のカメラを使った事と同じになります。
しかしこれで、本当に充分な画質が得られるのでしょうか?

実験

同じデータから出力解像度を変化させてプリントアウトしてみました。

元画像データ:EOS D30(300万画素)
RAW データを DPP で Tiff に現像(パラメータはクリックホワイトバランス・スタンダード・シャープネス 0 )
アプリケーション:Adobe Photoshop CS2
プリンタ:キヤノン iP 3100(A4 サイズ 4色機)
用紙:キヤノン エコノミーフォトペーパー L判
プリントスキャン:キヤノン CanoScan 9900F(400 dpi でスキャニング)

スキャニングしたまま、周りの余白を少し切り、キャプションを入れています。

Photoshop 側で用紙サイズに合わせたもの。

出力解像度を 360 dpi に設定したもの。

出力解像度を 180 dpi に設定したもの。

出力解像度を 94 dpi に設定したもの。

それぞれの画像をクリックすると別ウインドウで大きな画像が開きます。

今回のまとめ

プリンタと言うハードウェアに依存している部分も大きく、的確な検証とは言えないかもしれませんが、
各々に差異がある事は間違いありません。しかし 360 dpi で出力したものと 180 dpi で出力したものを比較して、
まったくダメとは思えません。94 dpi のものに関しては、シャープネスに欠けボケて見える事は確認できました。
しかし、この辺りは用途・目的、見る側の主観など定型化できない部分もあります。

引き続き、この検証を詰めてみようと思います。

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