デジタルカメラにおけるワークフローを考える

データバックアップについて

通常、撮影されたデータはカメラに装填されているメモリーカードに記録されます。
その後、作業するためにデータをパソコンにコピーする事になるわけですが、
一般的には、パソコンに内蔵されたハードディスクドライブ(以下 HDD)や、
USB や IEEE 1394 で接続された外付けの HDD にコピーされていると思います。

ここ数年、外付け HDD も静音化の影響でしょうか、冷却ファンがついていないものが
多くなってきました。しかし HDD の寿命と言う側面から見た場合、
それは決して好ましいものとは言えません。

また不慮の事故(駆動中に大きなショックを与えてしまうなど…)でも
本来の寿命を待たずに読み込めなくなる可能性があります。

我々が仕事で使うような場合、半年から1年以上経過したものは、
ほとんど再利用される事がありませんので、最低限その程度保管出来れば
実用上は問題ないわけですが、案件によっては、それより長い期間
保存しておかなくてはならない場合もあるのです。

一般的なデジタルカメラユーザーならば、尚の事。
プリントされていないデータが HDD 一杯に保存されている場合もあるでしょう。

そのような状態で、何らかの事情で HDD のデータが読み込めなくなったら…。

やはりバックアップは重要だと、不測の事態になってから気付くのです。
バックアップは「転ばぬ先の杖」なのですね。

どんなメディアに保存する?

バックアップと言う目的から考えると、最初に保存した HDD 以外のメディアに
データをコピーして保存出来れば良いわけですが、そのためのメディアは何が良いのでしょうか?

CD-R・DVD-R

比較的安価で入手出来て、タイトルラベルの管理さえしっかり出来ていれば、
メディアを開かなくても内容が判ります。
おそらく一般ユーザーなら、これがベストチョイスではないかと思われますが…
注意すべき点として、経年劣化による読み込みエラーの発生が挙げられます。

保存状態によっては、数年で読めなくなるメディアも存在すると聞いています。

また、経年劣化以外の要素としても、ディスクのキズ(信号面のみならずレーベル面でも)で
読み込み不可能になってしまう事もあり、その点で不安は残ります。

私の場合、1枚当たりの容量が少ないので(DVD-R でも)現在では使っていません。
また恒久的な保存を目的としているので、データ書き換えが可能な RW メディアは使いません。

次世代 DVD

現時点では Blu-ray Disk 、HD-DVD ともにドライブ、メディアとも入手困難。(と言うか、まだ高価ですよね)
このまま両規格が並列で続くのか、あるいはどちらか一方に収束するのか…あるいはドライブ側で両対応もできるものなのか。
保存性を重視した場合、将来にやや不安有り…と言ったところでしょうか。

HDD

内蔵 HDD から外付け HDD に、また外付け HDD から別の外付け HDD にコピーする。
コスト的には先に挙げた CD-R や DVD-R よりも大きくなります。
以前に比べて安価になってきているとは言え、2万円近い出費が必要でしょう。

しかし記憶容量当りの単価としては、非常に安く(1GB当たり50円くらいに)なるので
年間に数百GB データが増えてゆくような場合、メリットは大きくなってきます。

ただし、ネックになるのは信頼性。
壊れる前に、新たなバックアップを用意する事になるのですが、
実はそれでもコスト的には安いかもしれません。

RAID

単体の HDD が持つ弱点をシステム面でカバーするのが RAID 5 です。
ハードウェア RAID の場合、内蔵された複数の HDD に分散して書き込まれるため、
仮に一つの HDD にトラブルが生じてもデータが復旧出来るというもの。

しかし RAID のシステム自体が壊れてしまった場合、内蔵された HDD をバラしても
単体の HDD として認識出来ないため、どうする事も出来なくなってしまいます。

MO

最近すっかり見かける事も少なくなったメディアではないかと思います。
しかしながらシャッター付きのケースに入っているため外的要因によるメディア損傷は少ないと思われますし、
記録方式の関係(レーザー光で温められた部位のみが磁気に反応してデータを書き込める)で、
データの保存性には優れていると言われています。

ギガバイトクラスのメディアもありますが、読み書き(特に書き込み)に時間がかかってしまう事と、
コスト面で他のメディアに一歩譲る感も否めません。
私の環境では、640 MB のメディアまでしか使えませんから、CD-R に置き換えられてしまっています。

まとめ

バックアップ本来の目的から考えると、複数のメディアで複数のバックアップを用意するのが
王道とも言うべき方法かもしれません。(例えば HDD と DVD-R の併用など)
しかし、管理が煩雑になり、また光メディアの場合は一定期間で新たに焼き直す必要も
生じてくる事を考えると、現時点では HDD を用いるのが手間もお金も掛からないと考えられます。

とりあえず、分散させて同じデータを複数用意しておく事が、バックアップの目的ですから、
コストパフォーマンスを考えれば、別の外付け HDD に置いておく事で最低限の対応はできます。

現時点で考えられる最善の策としては、データストレージに RAID 5 を用いて、
バックアップに外付け HDD を、より重要なものに関しては光メディアにも焼く…でしょうか。

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